たぶんそれは、パンダ・ベアにしてみれば、自分のドラムにより集中できるということかもしれないし、ディーケンにしてみれば、いっそう深くピアノ演奏を掘り下げられるかもしれないということだ。もしくは、エイヴィー・テアやジオロジストに、ルネッサンス音楽(グレゴリオ聖歌、ハーディガーディ、美しいポリフォニー)への興味を大いに抱かせる余地を与えているかもしれない。そういう衝動が『Isn’t It Now?』の真髄である。
64分におよぶ『Isn’t It Now?』は、アニマル・コレクティヴにとってこれまででいちばん長いアルバムである。そのうちの約3分の1をしめる「Defeat」は、希望に満ちた忍耐を歌った、魅惑的で爆発的な頌歌である。しかし、この楽曲は不思議なほどシンプルな表現で、真に迫った不安の余波や、美しさやノスタルジアや前進や悲しみや希望を感じさせ、聴く者を歓迎し、ゆっくりとした呼吸で送りだす。彼らは最大で24チャンネルを使用し、たった12日でこの作品を完成させた。
『Isn’t It Now?』は、アニマル・コレクティヴにとってこれまでにないほど共同的で協力的な作品であり、過去に書いたベスト・ソングのいくつかにその言い知れぬ親しみを偶然にも提供している。ここに収めた9曲は、最初から最後まで、姿勢と実行力が成功した作品だ。
【収録曲】 Disc-1 1.Soul Capturer 2.Genie’s Open 3.Broke Zodiac 4.Magicians From Baltimore 5.Defeat 6.Gem & I 7.Stride Rite 8.All The Clubs Are Broken 9.King’s Walk 10.The Challenge (Live Edit) (Bonus Track)