84年の再結成以降、一度も解散することなく活動を続けてきたディープ・パープル。イアン・ギランとデヴィッド・カヴァーデイルというロック史に残る名シンガーを擁し(結成期のロッド・エヴァンスもいるが)、長いキャリアを形成してきたわけだが、その中でも最も印象が薄かったのが、89年から92年にかけてジョー・リン・ターナーがヴォーカルを担当した時代だろう。この録音は、91年に行われた“Slaves and Masters World Tour”から、ブラジル・サンパウロ、オリンピア・スタジアムで8月20日と21日に行われたライヴから21日の公演を収録。リッチーは相変わらずのわがままギターだが、バンドの演奏はかなりノリが良い。南米ならではの歌いまくる観客の熱気も凄まじく、残念ながら粗っぽさは否めないもの、ターナーも気迫のヴォーカルを聴かせる。しばらくはこの時代のライヴがオフィシャルで出ることはなさそうなので、記憶に留めておいてほしい録音だ。 (C)RS