大阪を中心に活動を続けている、中華系マレーシア人リム・カーワイ。彼はカメラ一つその肩に背負って、地元大阪はもちろん、香港やバルカン半島へと単身赴き、ほぼ即興で演出するというスタイルを貫いている。その彼が、『新世界の夜明け』(2012)、『Fly Me To Minami 恋するミナミ』(2013)に次いで大阪三部作の最終章との位置付けで発表したのが、本作である。今の日本が抱える様々な断面を、彼特有のユーモアと皮肉を利かせた軽妙なスケッチの積み重ねで集約させていく。9カ国・地域に及ぶ様々な国籍・言語・人種のキャラクターたちによって紡がれる複雑な背景の物語を、気持ちいいほどに巧妙に捌き分け、しかしその語り口はオフビートで心地よい。その手腕に敬服する圧巻の2時間38分!
日本からは、千原せいじ、桂雀々ら関西の人気喜劇人や、渡辺真起子、兎丸愛美、尚玄らが参加。アジアからはツァイ・ミンリャン監督作品の主演で知られる台湾のリー・カンション、『ソン・ランの響き』が本国ベトナムで大ヒットを記録し、日本でも多くのファンを獲得しているリエン・ビン・ファット、『My Dream My Life』で森崎ウィンとの共演で話題を集めたミャンマーのナン・トレイシー、マレーシアでの人気を基盤にアジア全域で活躍するJ・C・チー、ネパールの国民的な若手民謡歌手モウサム・グルンなど、国籍を超えたバラエティー豊かなキャストが集結しているのも、この映画の大きな魅力の一つとなっている。