★『怒りの妄想』は序と2つの幕からなり、序は「The Beginning of a Web」というタイトル。もちろん作曲当時はインターネットもない時代なので〈WEB=蜘蛛の巣状のネットワーク〉という意味合い。第1幕では日本の能楽『敦盛』が、第2幕ではエチオピアの民話『正義』が物語の下敷きになっていて、どちらも他者への怒りにとらわれるもそれは無益であり最後には和解へと至る、という筋書きを辿ります。パーチ自身の創作と外界との軋轢が描かれているのかもしれません。また作曲家自身も経験した「ホーボー(放浪労働者)」が登場するのもパーチ作品らしい特徴です。