本作は、1968年夏のシカゴ民主党大会で暴動を企てたとして起訴された8人の活動家たち(「シカゴ・エイト」)の裁判をモデルとしている。被告たちの挑発行為によってもともと茶番劇的な性格を持っていたこの裁判は、作品中ではさらに滑稽なものにされている。『プレイボーイ』に始終何かを書き付けている裁判長エルネスト・アドルフ・ヒムラーを演じるエルネスト・メンゼルの怪演は忘れがたい。裁判劇の合間に差し挟まれる寸劇のうち、ゴダールとゴランが録音機を携えて試合中のテニスコートを練り歩き、革命的な映画作りについてどもりながら議論するという滑稽な姿も印象深い。ジガ・ヴェルトフ集団の名義で撮られた最後の作品にして、破壊的な笑いに満ちた革命喜劇。(Text by 堀潤之)