【アーティストプロフィール】
HIRO TANAKA
ショッピングモールでの福引にて特賞海外旅行に当選、初めてのアメリカ旅行へ。
現地で知り合ったバンドのツアーに同行するうちに、バンドのメンバーよりカメラを譲り受け、写真を始める。
尾仲浩二ワークショップ参加。
Cosmos Arles PDF Award フランス、TPD Book Award イタリア等受賞。
アメリカ、ヨーロッパ、アジアにてレジデンシープログラム参加、グラントの受領他
出版物
「OOOFOO」(BLOCK HOUSE+island JAPAN | Tokyo, 2020)
「Dirty Birdy Bible: Notes From the Road」 (Daylight | USA, 2019)
「Chicarron」(Witty Books | Italy, 2018)
「Around 42nd and 7th」(Trieste Photo Days/ Dot Art | Itally, 2018)
「Dew Dew, Dew Its」(Asian Man Records | USA, 2013)
【HIRO TANAKAさんについてのコメント】
「奇想天外な奇才、田中ヒロ
フラッシュを強く焚いて写真を撮る作品はこれまでの写真史の中に多く存在しています。
かの有名なイギリスの写真家Martin Parrをはじめ、モノクロが主流だった時代に歴史を遡っても多くのフラッシュマンと呼称される作家は数多く存在しているのです。
そんな中で、田中ヒロの何が凄いかと言うとそれを赤ちゃんが歩き始めるように、ごく自然に当たり前にやってのけたことだと。まさしく奇才と呼べると思っています。
彼はスーパーの福引で当選した海外行きのチケットを手にしてから紆余曲折しながら、本場のバンドマンが見たい!と憧れのアメリカ行きのチケットに換え、現地のバンドマンと意気投合をして、アメリカツアーに一緒に同行することになった。
ここまで書いていても「こんな夢物語あるのだろうか」と。思わずにはいられないのだが、彼の人生はここから大きく変わることになる。バンドマンのひとりが田中ヒロに「ただついて来ているだけじゃ勿体ないからカメラで写真でも撮っていれば?」とカメラを渡したのだ。
その時点でカメラを手にしたことはなかった田中ヒロはそこから写真という世界に足を踏み入れ、写真の歴史も写真という表現も何も知らない状態だったのにも関わらず、Robert FrankやLee Friedlandeなどと言ったアメリカ写真界において重要な人物を彷彿とさせる写真を撮れてしまっているから本当に驚いた。
その後、様々な経験を経てフラッシュを使う作品を撮り始め、アメリカのレコード会社から「Dew,Dew,Dew,Its!(2013)」が刊行されるのだった。
赤ちゃんが歩き始めたら恐ろしいものだ。
彼は自分でダミーブックという、仮で自分の写真集を手作りしたもので競い合う大会が世界各国で開催されているのを知り参加し始めたのだ。
そして彼はやってのけた。写真界において知名度が高いフランス・アルルで開催される「アルル国際フォトフェスティバル」のダミーブックアワードで受賞してしまった。
これは赤ちゃんが空を飛ぶくらい衝撃なことで、理解するのに数十分はかかった。
その後、田中ヒロが手作りしたそのダミーブックはイタリアの出版社から刊行され、紛れもなく彼は逆輸入型の写真家になった。
田中ヒロとは、まさに奇才である。
bookobscura 黒﨑由衣」