私たちのお酒づくりは、つくしがのぞく春の手前に酒蔵の表で始まります。 稲の種もみを土に
播きつけ、いい苗床を養うことから。日本酒とは、米の果実酒です。 美味しいお酒はつまると
ころ、美味しい田の実の輝かしい生まれ変わりに他なりません。 私たちは、自社田で米を育て
ています。 秋も暮れを迎える頃、寒梅酒造の小さな蔵は、ゆれる金の稲穂の真ん中にあります。
自社栽培米を使用しています。
酒蔵の前には、先祖伝来の田んぼがのそりと横たわっています。天から授かった土と水は、私たち
のひそかな誉れ。寒梅酒造のお酒は、その2割に自社田育ちの酒米を使用しています。酒づくりは米
づくりからと、創業時より伝えられてきました。米を知り、そうして酒を知るとも。稲作に労をかけ、
米というこの不思議な穀物について理解を積み上げてゆくのが、この蔵元の昔からのよき習わしのよ
うに思います。今年も良米に恵まれますよう。
4種類の酒米を育てています。
私たちの田んぼでは「美山錦」「愛国」「ひより」「山田錦」の4種類の酒米を手がけています。ずいぶ
ん多いと思います。「山田錦」は酒米の雄として、広くその名が知られるようになりましたが、もちろん
実際の味わいは、品種ごとにそれぞれ個別の美質があります。米の個性を丹念に研究して、さまざまな品種
の深いところを、ひとつひとつ日本酒にうつしかえられたらと願っています。
自社米のほかは、すべて宮城県産の米です。
蔵元はいずこも地元に愛着があるものです。その土地の水や空気が日本一とまっすぐ信じて日本酒をつくっています。
私たちもまた宮城を深く愛しています。多少の身びいき込みとはいえ、水や空気のみならず宮城の大地が生む酒米の
豊かなポテンシャルに惚れ、宮城県産の米にこだわって日々醸造しています。かつて震災で蔵が崩れた私たちは、地元の
慮りに存分に助けられました。微力ではありますが、今度はそんな地元を支え、盛り上げてゆく一助になりたいと考えています。