■マグネシウム振動板採用BAドライバーユニットトゥイーターの役割を担うBAドライバーユニットの振動板には実用金属中でもっとも比剛性が高く、かつ高い内部損失を誇るマグネシウム合金を採用しました。また、ボイスコイルに伝送効率の高い銀コート銅線を採用し、端子部には金メッキを施すことで、導電性を向上。入力信号に対して忠実に動く振動系が、微小な音をしっかりと捉え、再生します。
■新しいマルチBAシステムを搭載新しいマルチBAシステムでは、搭載する全てのBAドライバーユニットがそれぞれの役割を持ち、補完し合うことで、IEMとして求められる音質を高いレベルで実現することが可能になりました。
■ペンタ・バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットバランスド・アーマチュア・ドライバーを5基(フルレンジ×2+ウーファー+トゥイーター+スーパートゥイーター)搭載。ボーカルや各楽器のバランス、リズムの立ち上がり、これらを正確に把握できる再生能力に加え、スムーズな高音域レスポンスにより演奏の細かいニュアンスを緻密に再現します。更に高い遮音性を備え、ライブステージにおけるモニターに必要な要素を全て詰め込めこんだ音質を実現しました。
■音の透明度を高めるマグネシウムインナーハウジングインナーハウジング素材には高剛性と高内部損失のマグネシウム合金を使用することで、BAドライバーユニットを堅牢に固定しつつ、不要な振動をおさえ音の透明度を高めます。
■自然な高音をそのまま聞くことができるオプティマイズドサウンドパス構造各BAドライバーユニットから再生された音は最適化された経路を通ることで、ロスすることなく耳に伝わります。これによりBAドライバーユニットの持つ自然な高音をそのまま聞くことができます。
■ケーブルを使い分けられる着脱式Φ4.4mmのバランス標準プラグを採用し、KIMBER(R)社と協力して開発したケーブルMUC-M12SB1にも対応。Φ4.4mmのヘッドホンバランス端子を採用しているウォークマンNW-WM1Z/NW-WM1AやヘッドホンアンプTA-ZH1ESとバランス接続をすることが可能です。
■銀コートOFC線を採用OFC(OxygenFreeCopper:無酸素銅)の表面に純銀コートを施した、二重構造の導体を採用。信号伝送ロスを最小限に抑え音の劣化を少なくし、なめらかな高音域の再生を実現します。
■合計13種類のイヤーピースを付属2種類の硬度のシリコンゴムに独自開発のシリコンフォーム素材を組み合わせた、独自開発のトリプルコンフォートイヤーピースを6サイズ付属。今までにない柔らかさと追従性で、高い遮音性と長時間の快適な装着性を実現します。また、水洗いできるので清潔に使用できます。ハイブリッドイヤーピースは7サイズ同梱し、合計13種類からお選びいただけます。
素直に“ほしい”と思わせてくれる、随所に魅力溢れる製品がこの「IER-M9」だ。ステージモニター、一般的にはユニバーサルIEM(インイヤーモニター)とも呼ばれる製品に必須のサウンドキャラクターである、キレのよさや厚みをもつ中域、そしてボーカルから高域にかけてのきめ細やかなニュアンス表現を巧みに実現しつつ、さらにソニーならではといえるグルーブ感のよい低域やクリアな音色なども持ち、それらが絶妙にバランスされている。
いっぽうで、ハードロックからクラシック、EDMまで、音楽ジャンルを選ばす素直に楽曲の魅力を伝えてくれる点もうれしい。高域へのスムーズな伸びや全体的な歪み感の少なさも貢献しているのだろう。ステージモニターというキャラクター性を考えず、純粋にリスニング用の高級イヤホンとしても大きな満足感を得られる、良質なサウンドだ。これは新開発のスーパートゥイーター採用もさることながら、各BAドライバーユニットの微細な位置まで検討した作り込みの細やかさ、ケーブル素材も含めてテストしたサウンドチューニングの徹底ぶりによる賜物だろう。遮音性の高さ、装着感の良好さも含め、とても完成度の高い製品だ。
文:野村ケンジ
※AV/オーディオ/ガジェット情報サイト「PHILE WEB」所収記事を短くまとめたものです。