一度聴いたら忘れられない柔らかなヴォーカル、折り重なる美しいコーラスワーク。そして幻想的な白昼夢の中の淡い記憶と、日々の日記のように綴られた歌詞を、自身が演奏するピアノ、アコースティックギター、ハープなどの楽器たちが優しく包み込む。フォーク・シンガーGregory And The Hawkの持つ素朴さや、同世代でもあるPhoebe BridgersやJulien Bakerとも共鳴するような繊細さと親しみやすさを併せ持つ。
しかし本作の持つ魅力はそれだけではない。前作アルバム『Better At Night』では、慣れ親しんだエモ/ポストロック由来のフィンガーピッキング・スタイルを生かし、バンドサウンドをメインとしたポップな作品を作ったが、あれから4年。アコースティックサウンドをベースとしつつも、前作とは一味も二味も違う、ピアノやハープを主体としたトラックが印象的な、優雅かつ洗練された作品となった。